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 光岳 



【概要】


T所在地 長野県・静岡県  
U訪問日時  平成25年【2013年】07月19日 (金曜日)
V天候 初日〜晴れ後曇り、二日目〜晴れ時々曇り  
W標高光岳 [ 2,591.1m ]
 X登下山コースと所要時間■初日; 易老渡[880m](05:19)→4.8q[1,474m][休憩;17分]→(11:07)易老岳[2,354m](11:32)→≒3.4q [休憩;08分] →(14:36)光岳小屋(14:58)→≒0.6q →(15:19)山頂(15:20)→≒0.2q → (15:30)光石(15:35)→≒0.8q →(16:10)光岳小屋
■二日目;光岳小屋(05:01)→≒0.4q→ (05:16)イザルガ岳分岐(05:16)→≒0.3q→(05:26)イザルガ岳(05:37)→≒0.3q→(05:42)イザルガ岳分岐(05:42) →≒3.2q[休憩;12分] → (07:57)易老岳(08:03)→4.8q [休憩;05分] →(11:34)易老渡
 * 上記ルート図 
 * 表示距離についての注記
 Yその他 《1》登山口と山頂との標高差〜1,711.1m
 《2》日程〜一泊二日
 《3》同行者〜 単独
 《4》前夜泊 〜弁ヶ島広場テント泊


【詳細】


夜中の2時ちょっと過ぎごろ小用で外に出た。
月はなく、満天の星空だった。空が白っぽくみえるほどの星数だ。久しぶりにこんな夜空を見た。
 4時に起床して窓の外を見たら真っ白で何も見えなかった。ガスだ。外に出てみると風はさほど感じないが、濃いガスが激しく流れていた。小屋を出かけるころは、少し薄くなった気はしたが、やはり陽は隠れていた。ダメでもともとと想い、大展望を求めて、イザルガ岳へ足を向けた。山頂は半球形をした、広い、砂礫場だった。山頂標識のある場所に近づいたころに、幸運にも目の前のガスの切れ間がのぞくことがあった。一面、もくもくとした、白い雲海と化していた。その雲海が綺麗だった。そして、近くのガスが切れたときに、大雲海の上に、薄い靄のかかったような状態で、三角形の山の形したものが見えた。あっ、山だ、としばらくの間思った。そしてピン、ときた。富士山だー、と。あんな、格好のイイ山がほかにあるか、と。その見えた瞬間に、左手から大きな白い雲の塊が富士山に迫っているのも見えた。その後2度ほど、ぱっと現れては、またすぐに消えてしまった。写真に撮ろうと、10分弱ほどシャッターチャンスを待ったが、ダメだった。あの近づいていた雲がもう富士山を隠したに違いない、と観念し、カメラをしまった。かえすがえすも残念ではあったが、でも幸い大雲海上に 並んで聳え立つ聖岳と兎岳(?)の雄姿は望むことができた。ただ、ガスの切れ間からパッと顔を出し、そしてまたパッと消えてしまった富士山の残像が今でも瞼を離れない。
 そして、三吉ガレの展望地では、中央アルプスとその奥の御嶽山、そして恵那山(これまでこの山の姿をカツコイイと思ったことはなかったが、ここからの雲海上のその姿は泰然自若とした安定感を感じさせる好ましい山と初めて思えた。)を遠望できる幸運に恵まれた。と同時に、眼下を幾重にも走る、この光岳の支脈の重厚な存在感に目を見張らされた。

 この山は全山を木々が覆っているので草花は少なかったがそれでも登山道脇では、それなりの種類の花が咲いていた。特にその数が多かったのは、ゴゼンタチバナ、ミツバオウレン、そしてキバナノコマノツメだった。コバイケイソウかミヤマバイケイソウも沢山あったが、ほとんど全て花穂の部分は鹿に食いちぎられていた。新芽のころ食べられたのか、穂が出てから食べられたのかは、わからない。
 シナノキンバイが沢山あったが、何輪かがまだ咲いているに過ぎなかった。時期には見事なものだろう、と容易に想像できた。
 静高平の木道脇にシモフリゴケを交えたガンコウラン(かアオノツガザクラ?)の、カーペット状の大群落は、いかにも高山の雰囲気を醸し出していて、別世界に遊んでいる気分を味わわせてくれた。
小屋で宿泊の受付を済ませて、山頂までの道のりを聞いたときに、小屋の人が、山頂のちょっと先にテカリ石というのがあって、それがこの山の名前の語源となっていて、そこにミヤマムラサキという、珍しい花が咲いている、と親切に教えてくれた。小屋に飾ってあった額縁入りのテカリ石の写真を見たけど、是非見てみたい、とは小生は思わなかった。すでにヘトヘトにくたびれていたので、テカリ石から山頂までは登り返しになるとも聞いたので、山頂で引き返すつもりで出発した。途中で会った、この山が百名山目という同年輩の夫婦のご主人の方が「俺も百名山を歩いたが、あんなかわいい花は初めてだ。一見の価値がある。是非見たほうがイイ。」と絶賛していたので、明日また来るのは二重手間になってしまうので元気を奮い起こして足を伸ばしてみることにした。岩山の下のほうに、チングルマ似の花の小さな群落もあった。一輪のイワオトギリが岩の隙間から顔を覗かせていた。小屋への帰り道あのミヤマムラサキという花はどこかで一度見たことがある、と思い出した。帰宅して図鑑を見ると、北岳での写真が載っていた。小生も、3年前の北岳の写真記録を見直してみたら、あった。北岳で見たのだった。
 可憐という言葉がふさわしい花だ。

 この山はいろんな林の顔を見せてくれた。陰気な杉林。ブナ、カエデ、ミズナラ、ダケカンバなどの広葉樹の若木が密林のように林立し、林床は枯れた落ち葉だらけ、それでいて非常に明るい、浮き浮きする感じの、明の森。幹の木肌が独特の色したヒノキの林もあった。直径が1メートル50くらいはありそうな古木もあった。ここもこの幹のお陰で暗くない。“ツガ、コメツガ、シラビソ,トウヒ”などの針葉樹林。古老木が鬱蒼としている。臨床には倒木が横たわり、苔むしている。太古からの時の流れを感じさせてくれる原生林。ダケカンバが主人公のエリア。明るい。そしてハイマツと潅木の高山らしい世界。
 歩くことの苦痛のない下山時、そして、雲が切れて、青空をバックに木々の葉が明るく輝きを放つ林の中を、おいしい空気を深呼吸しながら、木々を見ながら歩く。小鳥達やセミの鳴き声が耳に入る。静かな喜びが体の隅々にしみる。こんな時間と空間の中に身を置いている自分を幸せ、と思う。

 いつものように、あえぎ苦しんで登った山道。にもかかわらず、ほとんどいつものように、必ずまたどこかの山を訪ねたい、と思わせる不思議な魔力、を今回も味わいながら帰途についた。


【写真記録】


 ☆☆ 原生林の山 ☆☆ 


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